駐在妻の日記

世界の果てからこんにちは

石油って

石油大国の多くはイスラム教の国だ。

イスラムの神アッラーには、本当に何かが見えていたのかと思うほど。

 

私が住んだ2つのイスラムの国は、言葉も気候も人種もすごく似通ったところだったが、

決定的な違いは、石油が出るか出ないかだ。

 

石油が出る国の人々は、基本働く意欲がかなり低い。

最低限の生活は、石油で潤っている政府から保証されているし、

政府の政策としても、石油さえあれば、観光客にこびる必要も、

輸出できるような製品や名産を作る必要も、外資を誘致する必要もない。

鎖国したまま、今の生活をキープできるのだ。

 

彼らにとって一番大切なのは、信仰、次に家族、そのずっと後に仕事、のように感じる。

子供が病気になったらお父さんも仕事を休んでしまうし、そもそも仕事をしない男の人も多いし、

ラマダンだから働かない、ラマダンが終わったらラマダンで疲れたから働かない、といった具合で、またキツイ仕事はやりたがらず、総じてプライドが高い。

問題をお金で解決というのは通用せず、仕事をクビになることもあまり恐れず、自分の好きなようにする。

 

そもそもたくさん働いて、プラスアルファのお金を得たとして、

それを使う先がない。

買うものもないし、お金がいる娯楽もない。

(彼らのもっぱらの娯楽はおしゃべりで、公園やカフェで男性陣がずっとおしゃべりしている。週末や休暇は親戚や友達の家を訪ねたり、招いたり)

だから、たくさん稼ぎたい、もっとほしい、と思う気持ちも少ない。

 

逆に、もっとほしい、とお金に卑しいのは、石油や土地持ちなどの桁違いのお金持ちたちだ。

彼らは一年のほとんどを海外(先進国)で暮らしている。

もう十分、信じられないほどの利益が定期的にふところに入るはずなのに、

ほしいものも、ハイクラスな生活、子供達も(もちろん海外の学校へ)、無限だ。

 

逆に、石油が出ない国では、製品では先進国にかなわなくても、

地産のもの、民芸品を現代でも使ってもらえるようにアレンジしてみたり、

子供のうちから学校もそっちのけで職人としての技術を学ばせていたり、

(そして識字率がとても低い…)

外国人にお金を落としてもらえるよう、観光地として整備したり…という感じだ。

 

でも観光客がくることで、スリなどの軽犯罪は増えるし、外国人のためにお酒の販売などもせざるおえず、その結果現地の人々にも浸透し、アルコール依存症や酔っての喧嘩などが増える。

 

物事はいつも表裏一体で、絶対的に良い事も、悪い事も、全く存在しないのだ。